音楽塾ヴォイス / メディア情報
【この人・この一言】悔しさを忘れなかったから 今がある
読売新聞夕刊(2009年7月9日掲載)
090709読売新聞夕刊
 福岡市中央区のマンションの一室。作詞作曲や歌を指導する音楽塾は、生徒の音楽経験は問わない。ただ、最初にはっきりと言う。  
 「ここでは仲間も友達もできない。みんながライバルだ。孤独な練習に耐える力がないと、プロにはなれない」  
 厳しい言葉の裏には、自らの挫折経験がある。  
 九州産業大在学時にロックバンド「ヴォイス」を結成し、メジャーデビュー。卒業後は一人上京しシングル1枚を出した。だが何も知らずに飛び込んだプロの世界。売れない。“答え”は、見つからなかった。  
 今思えば、「自分を天才だと思っていた。だけど才能も実力もない『井の中の蛙』だった」。所属事務所をクビになり、製薬会社に就職した。  
 しかし、福岡市に転勤し知人の音楽スクールを手伝ったことを機に音楽の魅力に再びはまった。7年間勤めた会社を退職。世代を超えた名曲を分析して独自の音楽理論を確立し、1997年、塾を開いた。  
 塾で指導したシンガーソングライターのYUIさんや絢香さんが人気アーティストに成長し、名前は一気に知れ渡った。  
 月2回は東京から音楽活動の原点・福岡に帰る。まだ、見ぬ才能との出会いを求め、九州各地のオーディションやカラオケ大会にも足を運ぶ。  
 「夢を実現できなかった悔しさ。それを忘れなかったからこそ、今がある。自分と向き合い、足りなかった点を認めることで変わることができた」。自信を持ってそう言える。(文・森洋二)

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